犬 の 詫 び 状

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144.取らないよ
贅沢かな?     某月某日

 「お魚があるよー、お出でー!」って、呼ばれた。

何をくれるのかな?って期待して来てみたら、

なーんだ、お刺身か。。。。
しかも、白身のお魚だ。
んじゃ、だっちゃんいらないよ。って、言ったら。

「だっちゃんは最近贅沢だ!贅沢過ぎる!!」
「犬は、貰った物はなんでもありがたく食べるという、心がけが大事だ。」人間は、おかんむり。

最近のだっちゃんは、自分のご飯はきちんと食べるけど、
それ以外に貰う物は、白いご飯やパン、お菓子など、穀物は一切食べないし、
お魚もお刺身はいらないし、お肉も日によっては、いらない、って事もある。

贅沢だって、言うけど、
そうじゃないよね。

暖かくなって来たんで、もう寒さに耐える必要もないし、
だっちゃんは自分で食べる物をコントロールしてるんだよ。

いつでもだっちゃんを侍らせて、なんでも一緒に食べたい人間は、

「食い意地の張ってない犬は、つまらん。」と、文句言う。
 
 
お手本     某月某日

 だっちゃんには「お手本にしろ」、って言われているワンコが居たんだ。

甲斐犬系日本犬の牡犬、Jくん。
出会った時にはもう、15歳になろうか、と言う年だったけど、
立ち耳巻尾、しっかり踏みしめた力強い四肢、少しも崩れていない引き締まった見事なスタイル、
白髪になってるとはいえ、綺麗な胡麻の毛並み、
さすがに目が白くなってたけど、それさえ無ければ、ほんとに若々しくて、どっから見ても若い犬に見えた。

その頃、だっちゃんはまだ子犬で、
Jくんと出会うたびに遊んで貰ってたんだ。

子犬とはいえ秋田犬、17,8キロもあるんだよね。
Jくんより、ずっとずっと大きいんだよ。
そんな子犬と、大人になるまでの間、果敢にプロレスをして遊んでくれてたんだ。
しかも、大人の犬が子犬を遊んでやってる、というのは崩さずに。

なかなか出来る事じゃないよね?

「若い頃は気が強くて強くて、とにかく大変だった。」と、飼い主のおじさんが言っていたけど、
その年でも気迫はしっかり、若いもんには負けない、という気力がみなぎってたよ。

だっちゃんが大人になってからは、だんだん遊ばなくなったんだけど、
Jくんはずっと元気に愛想が良かったんだ。

18歳くらいで病気をして、がくっと弱ったんだけど、
それでも旅立つまでの毎日、ずっとしっかり散歩してた。、
病気するまでは、ずっと元気なままで過ごしてたんだよ。
とてもそんな年に見えなかった。

老ワンコのお手本のような、ワンコだって。
だっちゃんも、Jくんを見習って、元気に過ごせ。って。
古武士のような風格は無理でも、元気に長生きした老犬時代をぜひ見習え。って。
 

そうだったんだ     某月某日

 朝の散歩で歩いていたら、道の真ん中で寝てるやつがいる。

いつも前を通ると誰にでもギャンギャン吠えるビーグル系の犬。
門の隙間から出ちゃったんだね。

向かいからは、白い犬がやって来てる。

どうなる事かと思いながら、
取りあえず、避けて様子を見る事に。

と。。。。あれれ????

すぐそばをすんなり通って来た????
ビーグルは寝たまま???どうしちゃったんだろう???

頭の中は???だらけだけど、そこを通らないわけにいかないんで、
だっちゃん達も通ってみる事に。

道は狭いんで、そぐ側を通る事になるんだけど、
今まさに横を通り過ぎる寸前、ビーグルは気が付いた。

吃驚して飛び退き、ギャンギャン吠えだした。

ひょっとして、耳が遠くなってるのかな?
だから気が付かなかったのかな?

お花見会場の酔っ払いおじさんだ。って言われた

余興もするよ
気分が盛り上がるね     某月某日

 夕散歩で歩いてたら、脇の家からリードの付いてない、ゴールデンとパピヨンが飛び出して来た。

2頭でギャンギャン吠えながら、だっちゃんに飛びかかって来たんで、
とっさに大親分は足でゴールデンを蹴った。

「ギャン!」と言うなり、逃げ出すゴールデン。
先頭で飛び出して来たはずのパピヨンは、要領よくいつの間にか、真っ先に逃げてる。

ここは車の通りも多いとこだし、家に追い返してあげたんだから、人助け犬助けだよね。

だっちゃんの気分は大いに盛り上がった。
 
やっぱり山はいい!!    某月某日

久々の土の山。

張り切っちゃうよ。

やっぱり山はいいね!

たとえ、山頂目前で撤退しても!!
 
取らないよ      某月某日

 エールくんちの前を通ったら、久しぶりに顔を出していた。
だけど、なんか、様子が変?
いつもは立ち上がって歓迎してくれるのに?

エールくんは、だっちゃんを横目で、じいーっと見て、

「うーっ、わわん!(取るなよ!)」って、だっちゃんを牽制して、

次の瞬間、大あわてで、ガムを食べ始めた。

なーんだ、ガムを持ってたんだ。
心配しなくても、だっちゃんはガムは嫌いだよ。

でも、そうだな、嫌いな物も、人(犬)が持ってる物は欲しくなるかもね。
 
新規開拓     某月某日

 だっちゃんの買い物地図が、またまた充実した。
新しいパン屋さんが出来たんだよ。

そのパン屋さんは、朝の7時から開いてるし、1件だけ離れたところにあるんで、朝の散歩で行くのにちょうどいい。

お店のお兄さんも、ワンコが大好きだし、
入り口から頼めばちゃんと持って来てくれるんだ。

人間は、朝からいっぱい歩く事になるから草臥れる、って文句言ってるけど、
だっちゃんは、楽しみがまた増えたよ!
 
今日は引き分け     某月某日

 ブラインドコーナーで、敵と鉢合わせ!

お互いの飼い主は飛び退き、

だっちゃんは親分に渾身の力で吊られて持って行かれ、
敵も、渾身の力の飼い主に引きずられていた。

今日も引き分けだね!
 
力こそ正義     某月某日

 雨はじゃんじゃん降ってるし、つまんない散歩コース。
だっちゃんはぜんぜんやる気無し。

親分は膝が痛かった。
片足が踏ん張れないと、力も弱まる。
すかさずつけ込むだっちゃん。

「よそんちのワンコは、そういう時に飼い主を気遣ってそっと歩く、とか聞くのに、
うちの犬にはそんな気遣いのかけらも無い!」

って怒る。

当たり前だよ。
力こそ正義、強いやつが偉い。って育てたんだもんね。

子犬の頃のだっちゃんは、とてつもなくいばりんぼうだったんで、
事あるごとに、だっちゃんは弱いんだよ、小さいんだよ、って言われてたんだもん。

今更しょうがないよね!
 
初体験だけど、つまんないね     某月某日

 だっちゃんはスキー場初体験。
ここは、ワンコが居てもいいんだって。(大きな声で言っちゃいけないのかもしれないから、場所は内緒。)

だけど、つまんないよ。
人もいっぱい居るし。

人間は、テレマークスキーを試したかったんだ。
果たして、スキーを履いて、だっちゃんと一緒に山に行けるだろうか?って事で。
まずは、テレマークスキーがどんなもんか試してみたいんだって。

で、ここなら、だっちゃんも一緒で大丈夫だから、って。

で、テレマークスキーは、どんな不安定なものなのか?、と思ってたらしいんだけど、
昔々のスキーを思えば、なんて滑りやすくコントロールしやすいスキーだと思うほどだったって。

これなら、だっちゃんのリードを腰に縛り付けても、問題なく滑れそうだし、
一緒に行けるかな、って。
来年、まだ元気だったら、一緒に行けるかな!

あー、退屈、眠くなるよ。 

思わず、船をこぐだっちゃん、周りで大うけ

翌日は、だっちゃんのために。

これなら文句ない。
  
さすがにそれは     某月某日

 朝、ダックスとテリアに会った。

ダックスが「ワンワン!」って吠えて来たんで、だっちゃんも、ずい、っと行ったら、
ダックスは固まり、前足を片方上げて、「敬礼。」

ん、わかればよい、くるしゅうない、近こうよれ、って鷹揚にして、
鼻をつき合わせて挨拶した。

礼儀をわきまえたやつだったよ。

飼い主のおばさんに、「まだ子供?」、って聞かれた。

ちょっと前まではよく言われてたんだけど、
さすがに最近では言われてなかったよ。

ヒゲも真っ白、赤いとこもかなり薄くなってるんだもんね。
 
理想的生活     某月某日

 だっちゃんは友達のDくんが羨ましい。
とっても理想的な生活をしてるんだよ。

Dくんは普段はけっこう広い庭で放し飼いなんだけど、
犬小屋は居間のテラスのとこにある。

お互いの気配を常にそばに感じられるし、
家の中に入れて欲しい時は、前足でガラスを叩けば、すぐ入れて貰える。
家の中で寝てて、出たくなったら、またすぐ出して貰える。

つかず離れず、好きに生きていける環境なんだ。

外だけだと寂しいし、
家の中だけだと息がつまる。(だっちゃんちは狭いからよけいにかな)

出たり入ったり自由に出来る環境、って羨ましいよね。

おばちゃんは、カーテンがボロボロだー!
床がドロドロだー!って言ってるけど。
 
お互い飼い主は大変だね      某月某日

 夕散歩から帰ってたら、向かいからハスキーが来た。

もう暗かったし、念のために脇の道に入ったところで避けて待つ事にした。
だけど、ハスキーは年なのか、ほんのちょっとの距離なのに、なかなかやって来ない。

どうしよっかなー、遅いなー、と思いながらも、もう少しかな、と、そのまま待ってたんだけど。

だけど、場所が拙かった。
そこは、敵の家の前だったんだ。

いつもはやつらは家の中にいるし、安心してたんだけど。
今まさに、敵のレトリバー2頭が玄関を出ようとしてたんだね。

玄関から出るなり、だっちゃんに気づいたやつらは、ダッシュッ!!!

飼い主を門から引きずりだし、向かいのブロック塀に激突させ、
体勢を立て直そうとした飼い主を、更に引きずり倒し、
その勢いでだっちゃんに向かおうと、力一杯、吠えだした!!

あまりの事に、思わず見とれていた、だっちゃんと親分だったけど、
ここでようやく事の重大さに、気が付いた。

負けずと、ガウガウ言い出すだっちゃん、
大あわてで、だっちゃんを引っ張り、その場を脱出しようとする親分。

渾身の力で引っ張られて、もとの道路に戻ったら、
騒ぎの原因の老ハスキーは、まだ到着していなかった。

結局、そのハスキーの側を走って行くはめになったんだけど、
こんな事なら、そのまま進めば良かったね。
おまけに、そのハスキーはだっちゃんとはぜんぜん問題の無い犬だったんだ。

でも、だっちゃんもやつらも、楽しい散歩のイベントだったと思うよ!
 

2006/04/06

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