犬 の 詫 び 状

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149.そりゃー、悪かったね
また来るからね 

 散歩コースの途中に、またまた柴犬。
今度はまだ子犬。

これがまたなんとも可愛い!!!

時々庭に居るんだけど、だっちゃんが寄ると、全身で大歓迎してくれる。
門に飛びつき、飛びはね、隙間から鼻を出し、大騒ぎ。

だっちゃんも挨拶するし、人間もかまって遊べる。

しばし相手して、またね、って離れると、

もう行っちゃうのー?!って、名残惜しそうに立って見てるんだ。

ほんとに可愛いんだ。

怪しいもんじゃないからね

 散歩コースの途中に居る若い柴犬、
だっちゃんが行くとどこに居ても、たたっ、と走って来てフェンスにへばりついて、
時にはだっちゃんと挨拶したりするんだけど。

親分はずっと、なんとか手なずけようとしてるんだけど、
警戒心が強いタイプらしくて、なかなか気を許してくれない。

一時は、ちょこっとだけなら、首筋を撫でさせてくれるようになってたんだ。

だけど、雨が続いたり、だっちゃんの口内炎騒動やらで、ちょっと足が遠のいていたら、
またまた、触らせてくれなくなってしまった。

まあ、しかたないね。
フェンスの隙間から縄張りの中へ手を入れてくる、怪しいやつだもんね。

興味を持ってくれてるだけでも充分だよね。
 
そりゃー悪かったね

 だっちゃんはいつも行く公園には、野良猫がいっぱいいるんだけど、
猫好き有志の人達によってみんな避妊手術もされて、地域猫みたいな感じで世話をされてる。

んで、だっちゃんが公園でしっこしようとしたら、
「ふーーー!!!」って、大慌てて猫がやって来て、威嚇のポーズ。

なにしてんのかな?と思ったら、
そこは猫のエサ場だったんだ!!

大事なエサ場に、しっこかけられそうになったら、そりゃー怒るよね。
だっちゃんも、猫の訴えをすぐ聞き入れて、しっこするのを止めた。

そしたら、猫は、威嚇のポーズを解いたけど、そのままそこにうずくまり、

しないならいいけど、するんならまた怒るよ。って言った。

大丈夫、ちゃんと覚えたから、もうしないよ。
悪かったね。

「種は違っても、ちゃんと話は通じるんだね。」人間は感心してた。

散歩の前は椅子の後でアピール

ジャマだと言われても、こうすれば
ドミノ倒しみたいだ

 口内炎がなかなか治らないせいで、酷い目にあってしまった。

最初に病院に行った時は、若い先生しか居なかったけど、
前回と同じに、抗生物質の飲み薬と塗り薬を処方されて、
それ以外に、薄めて口の中を洗うように、ってイソジンを処方された。
んで、せっせと洗って飲んで塗って、ってやってたんだ。

そしたら、何故か血便になってしまった。
最初は、薄めたイソジンで口を洗う時に、飲み込んでしまったイソジンの色素がウンチについてしまったのか?
なんて思ったけど、やっぱりそうじゃなくて、しっかり血便だった。

病院で検便をして、レントゲン血液検査の結果、原因不明。
念のため、今までの薬はぜんぶ中止。

点滴と注射をされ、下痢止めの飲み薬を貰った。


んで、血便はあっさり治ったんだけど、
そしたら、今度は、大量のしっこで苦しんだ。
普段の数倍という感じで、散歩の回数を増やしても追いつかない。
すごい勢いでしっこがどんどん生産されている感じで、
散歩の直後でさえ、伏せてて体位を変えた拍子に、たら、って出ちゃう。

量はそういっぱい漏れちゃうわけじゃないんだけど、
だっちゃんは吃驚して、なにがなんだかわからないながらも、気にして舐めて綺麗にしようとするし、
みんなとっても困った。

たぶん、老犬のだっちゃんだから、薬が効き過ぎちゃったんだと思う。
それにもともと下痢はそんなに酷いわけじゃないし、しっこの量も普段と変わりないわけだから、
脱水状態になってたわけじゃない。

院長先生が居なかったからしかたないけど、
もし、点滴、注射の話があれば、点滴は必要ないと断ったんだけど、
丁度混んでたのも悪かったのか、親分が気が付いた時はもう点滴中だったんだ。

点滴と薬が抜けるまでは治まらないだろうし、これはまずい、ってんで、
しかたなく、犬用の紙おむつと大判のペットシーツを買いに走った。

うちの人間は、これがきっかけで、おむつ生活になってしまったらどうしようとかなり焦った。

幸い、3日目の朝に大量しっこも治まったんで、おむつ生活も終わって、
みんなで、「ばんざーい!!」を叫んだ。



んで、ようやく振り出しに戻って、さて、口内炎は?

薬が効いて治りかけてたところを、一旦中止してたせいか、
またまた悪化。最初よりも酷くなった。
口の中が大流血。
ご飯も食べにくいし、水も飲みにくくなってしまった。

またまた病院へ。
今度は院長先生がいる時間を確認して行ったよ。


口の中のトラブルが起きないようにするには、やっぱり「歯磨きを丁寧にする」しかないんだって。
傷の部分は、レーザーで処置する事もあるけど、全身麻酔になるから老犬にはすすめられない。
抗生物質、塗り薬でしばらく様子を見て、それでダメなら、ステロイドを使おう。

そして、どうにも治らなくてレーザーでするなら、一緒にしっかり歯石を取って綺麗にした方がいい。
でも、リスクを考えたら、そこまでしない方がいいと思う、との事。


しっかし、きっかけは口の中のほんの小さなトラブルだったのが、
次々に次の問題を引き起こし、こんな大騒ぎになってしまって、
年を取ると、何が起こるかわかんないね。
ほんとに吃驚だったよ。

治ったら、今度こそしっかり歯磨きしようって。
犬用のハブラシの買い置きはいっぱいあるのに、
毎日の少しの手間を惜しんでいたら、こんなしなくていい苦労をするはめになった。
だっちゃんもこんな辛い目にあってしまった。と親分は反省してる。
歯磨きして出来るだけ綺麗に歯石を取って、綺麗な口の中にしようね、って。

だっちゃんのような酷い目に遭わないように、

みんなもしっかり歯磨きして貰おうね!


そんで、いつ何があるかわかんないんだから、
いざと言う時に慌てないように、紙おむつと、大判のペットシーツは用意しておくのが安心だね。
大型犬用は、普通のスーパーには無いし、夜中だとスーパーも開いて無くて困るもんね。

備えあれば憂いなしだよ。


口を擦りつけないように、ってんで、100円の空気枕をされた。

なかなか調子は良かったけど、動いたらすぐ取れた。
ダメだな。

まだこの時期なのに、もうしっかり毛が生えてしまった。
早すぎだよね、真冬にまた抜けそうだ。
かんじんな事はわからない 

 そんなわけで、毎日毎日散歩の後で、口の中と周りをシャワーで洗われているだっちゃんだけど、
だっちゃんとしてはすっごくイヤな事なんだ。

うちの人間は、
「うがいさえ出来れば、こんな事しなくていいのになー」
「なんで、あんた、うがい出来ないの?」
「口の構造上無理だわな。」なんて言うんだけど、

そりゃー、だっちゃんだって、出来れば自分でしてるよ!
洗われるより、よっぽどいいもんね。

「いじめてるわけじゃないんだよ。
だっちゃんのためにしてやってるんだからね。
こっちだってイヤなんだよ。」って言うんだけど、

どうも、意地悪されてるとしか思えない。


毎日、痛い口をこじ開けられて薬を飲まされたせいで、
だっちゃんは、薬を飲まされるのが大嫌いになってしまった。

親分が近づくと、そそくさと逃げる。
良からぬ事がおきると、警戒する。

「絶対に、意地悪してると思ってるよね。
酷い事ばっかりされる、って思ってるよね。」
「鬼婆が来たー!って逃げてるよね。」

「色々な事、すっごくよく覚えて知ってるのに、
肝心要の事がわからないからなー」って、人間は嘆いてる。

仕方なく、美味しい物で薬をくるんで飲まされるようになったけど、

「今度はこのせいで、カイカイになったらどうしよう。
もう目もあてられない!」って嘆いてるよ。


大親分は、
「忙しい時ほど、あちこち悪くなる、狙ってるのか。」なんて言うけど、

そんな事ないもん。

ささいな事が、次々に次の問題となって、どこまで行くやら、
老犬となると色々慎重に考えなきゃいけないね。

今までいいかげんに考えすぎだったのかもね。
  
買い物が無い!

 だっちゃんが口内炎になってから、買い物に連れて行ってくれない。

口が血の臭いって感じなんで、迷惑になるから、って。
気にしすぎかもしれないけど、やっぱりこういう事はこっちが気にしないとね。

だっちゃんはすっごくつまんない。

口内炎になってから、嫌な事はいっぱいあるのに、
楽しい事はなにひとつ無い。

な、なにすんのさー、ギロチンだって?!
「悪かった、悪かった。」

「だから、悪かったって言ってんじゃん」

ふうー、しかたない、許しちゃろ
効果があっても確かめられない

 口内炎がなかなか治らないんで、苦労してるんだけど。
大親分が怪しい事を言い出した。

「炎症の部分に、馬肉を貼り付けたら治るんだそうだ。」

馬肉?!馬肉だよ!!

しかも炎症があるのは犬の口の中。

いくら、効果があるとしても、犬の口の中にどうやって貼り付ける?
一旦は貼り付けられたとしても、ごっくん、ってしたらおしまい。

効き目が現れるまで貼り付いてるわけないね。
もっと真面目に考えてくれなきゃ。
 
昔なじみは貴重だもんね

 同じ年のシュナウザーに会った。

ごく若い頃の一時期、吠えられてた事もあったんで、
いつもはそばに行く事は無かったんだけど。

だけど、お互いに年を取って、友達もどんどん少なくなってくると、
昔からの顔見知り、ってのは特別なものになるようだ。

最近では、会うと挨拶するようになったんだよ。
わかんないもんだね。
 
 
元気になった?

 雨なのに、珍しくエールくんが大歓迎してくれた。

いつもは雨の日は、ログハウスの犬小屋に籠もってるのに。
寂しい留守番でもないのに。

暑い間は、どてっと寝てて、だっちゃんが行っても滅多に起きてくれなかった。
暑いと動くのもかったるいもんね。

今日は、だっちゃんを見つけると、ずっと立って待ってるし、
揚壁から身を乗り出して、だっちゃんの方へ首を伸ばして、ヒンヒンフンフンって、喜んでくれる。

だいぶ涼しくなったから、元気になったのかな?
 
お前はハルクか?!

 現在のだっちゃんの最大の敵は、けっこうデカイMIXの若いオス。

ちらりと姿が見えようもんなら、全身の毛が、バーッ!!と立って、
一回りも二回りも大きくなる。

「お前は超人ハルクか。」と、うちの人間は呆れて言う。
「あちこち毛皮が破れるのは、このせいか。」、なんて事言う。

ちょっと前に通った臭いを発見したら、ハルクのままで、どこまでも追跡する。

「そっちは行かない!」って言われたら、
こっちから先回りしてやろう、とか、あっちがわに回り込んでやろう、とか、色々画策して、
なんとか追跡を続行しようとするんだ。

人間は、「今、一番会いたくない犬だ。」って言いながらも、

「でも、こうやって、気持ちの若さが保たれるのかな」、って呆れてる。
 
犬だね

 だいぶ前、だっちゃんに挑戦して来て、大親分に首輪を捕まれ持ち上げられたMちゃん、
それ以来、すっかりおとなしくなって、
道ですれ違っても、目を合わさないようにして、そそくさと通り過ぎるんだけど。

そのMちゃんは、家の前を誰かが通ると、すっごく吠える。
かなり遠くにいる犬にでも、張り切って吠えてる。
だっちゃんが遠くの道を通ってても吠える。

いつもは近所迷惑になるんで、だっちゃんが前を通る事は無かったんだけど、
その日は、どうしても通らなきゃいけなくなって、前を通ってみたら。

なんと、Mちゃんは吠えもせず、大人しくだっちゃんを見送った。

しっかり決着がついた、と納得してるんだね。
Mちゃんの群れは、だっちゃんの群れに負けた、って。
 

2006/10/02

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